特集|秋のブッフェテーブルスタイリング~ディプレイ装飾の構成計画を学ぶ~【FSPJ × partycreation】
編集部トレンド • 2024/10/10 • Written by: partycreation編集部
こんにちは、partycreation編集部です。(https://party-creation.com/)
食空間のコンサルティングやスタイリング、スクール事業を手掛けていらっしゃる「食空間プロジェクト(FSPJ)」様とコラボレーションした特別企画。今月は、秋のブッフェテーブルスタイリングをテーマにディスプレイの知識やテクニックをお届けします。
FSPJ × partycreation presents.
「プロから学ぶテーブルコーディネート特集」
秋のブッフェテーブルスタイリング
~ディプレイ装飾の構成計画を学ぶ~
◆ ブッフェテーブル装飾を計画する前に
ブッフェテーブルの装飾ディスプレイは、美しく飾るということだけではなく、演出によって料理をおいしそうに引き立てて見せることが大切な目的となります。
その目的を念頭に、大前提として覚えておいていただきたいことがあります。それは、「装飾とお料理の衛生面」「ゲストとスタッフ(またはホスト)の2つの動き」「空間全体」についての配慮です。より快適で魅力的なブッフェテーブルを作るために、この3つの配慮について順を追ってご説明します。
・装飾とお料理の衛生面
装飾がお料理と接触しない事や、装飾の花粉やゴミなどが入らないことなど衛生面に気を配る事が大前提となります。お料理の取り分けの邪魔になるような場所に装飾を行わず、スムーズに取りやすいように計画する事が大切です。
・ゲストとスタッフ(またはホスト)の2つの動き
ブッフェテーブルの周りの動き「導線と動線」を意識しましょう。「導線」は入口からブッフェテーブル、そしてブッフェのお料理の進行方向にゲストを導く道筋で、「動線」はスタッフやホストが機能的に動くための道筋です。その2つの動きがスムーズになるようにブッフェのお料理の配置計画を工夫し、それを邪魔しない装飾の計画をします。
・空間全体
装飾計画する際には、いきなりテーブルの上だけを考えて計画するのではなく、開催する空間をキャッチすることで、ブッフェ会場全体がより魅力的な装飾となります。
ブッフェでの空間を含めた演出計画は、ゲストにお食事と共にどのような時間を提供するかを考えることでもあります。利用するお客様がお食事とともにその空間でより印象深く快適な時間を過ごしていただくために、空間全体をとらえた演出計画を心がけてください。
<この章のポイント> ・ブッフェテーブルの「衛生面の配慮」は装飾の大前提 ・ブッフェ会場の「導線と動線」2つの動きを捉える ・ブッフェテーブルは空間を含めた演出計画を考える |
◆ ブッフェテーブル装飾の構成計画
①ブッフェテーブルを囲む空間をキャッチする
続いて、ブッフェテーブルの構成計画を始めます。まずは「空間のキャッチ」をしましょう。空間のキャッチとは、「空間の方向を定める」「天井の高さ、部屋の広さ、家具配置等の位置関係を確認する」「空間全体のイメージをまとめる」の3点です。
・空間の方向を定める
空間を見渡し、入口から見た時のディスプレイテーブルの配置等を確認しましょう。ゲストの視線の動きと流れを知り、どこに装飾のフォーカルポイント(焦点)を置くか決定します。これは効果的な演出をするのに役立ちます。
・天井の高さ、部屋の広さ、家具配置等の位置関係を確認する
天井高はブッフェテーブルのスケール感に、部屋の広さと家具の配置はブッフェテーブルの構成や演出方法に、それぞれ影響します。
・空間全体のイメージをまとめる
設備空間とディスプレイのスタイリングテーマがマッチするかどうかをチェックします。
家具のデザインも含めて、空間とテーマイメージが合致していれば空間全体を統一した演出が出来ますが、そうでない場合、解決策や妥協点を考えてみる必要があります。
②ブッフェテーブルのサービススタイル
テーブルの大きさ(面積)と提供されるお料理の種類数や分量、提供方法、手順で装飾の場所や方法が変わります。
ブッフェテーブルのサービススタイルには、「シングルサービス」と「デュプリケートサービス」という方法があります。
シングルサービスは、テーブル上にお料理がコース順に一方向に並べられます。一方、デュプリケートサービスは、お料理が2方向の回遊式に並べられます。
シングルサービスの場合は、背面が壁なのか、もしくはゲストの視線から見えるかどうかを確認し、装飾デザインを変えると良いでしょう。デュプリケートサービスの場合は、基本的に装飾演出も四方見となり、どの方向から見ても綺麗に見えるデザイン構成に気を配りましょう。
③ブッフェテーブルの立体構成
ブッフェテーブルでのお客様の目線は立食の高さとなるため、その高さを意識した構成計画をすると、よりスケール感のある演出となります。
空間を捉えて、ブッフェテーブルのフォーカルポイントに視線を集めてテーマを伝えた後は、各お料理の数や量とのバランスを考えながら、装飾ディスプレイを考えます。
その際、テーブル上の装飾アイテムやお料理に高低差をつけることで、ゲストの視覚的な興味を引き、立体感が生まれ、より非日常的な演出を行うことが出来ます。
<この章のポイント> ・ブッフェテーブルの構成計画を立てる前に「空間のキャッチ」が必要 ・お料理の提供方法(サービススタイル)で装飾デザインは変わる ・ブッフェテーブルは目線を高く設定し、高低差の立体感で非日常感を演出 |
◆ 秋のブッフェテーブル装飾の解説
今回のブッフェテーブルのテーマは「秋のブッフェテーブル〜実りの季節を愉しむ〜」です。具体的にディスプレイ装飾について説明していきます。
テーブルクロスは、秋冬の季節感を意識して、チャコールグレーとオーシャンブルーの大人っぽいカラーリングに、暖かみのある素材をセレクトしています。
2枚のテーブルクロスを使用する事で、1つのテーブル上で役割のゾーン分けを行っています。チャコールグレーの部分には、取り皿、カトラリー、グラスなど、お食事前に必要なアイテムを配置。オーシャンブルーの部分には、お料理を配置する計画です。
配色は、オーシャンブルーと補色の関係でもあり、秋をイメージするオレンジ色のフラワーやテーブルランナーをセレクトしました。メリハリ効果のある配色で、ゲストに「ハッ」とするような躍動感を届けられるような効果を期待しています。
構成は前述でお伝えしたように、立食の目線に合わせてフラワーを高い位置に配置し、この高さとバランスをとりながら、お料理も高低差のある什器やケーキスタンドを使用するなどして、スケール感が大きく立体感のあるブッフェテーブルを計画しています。
フォーカルポイント(視覚的な焦点)となるセンターピースは、テーマに合わせたものであるとより効果的です。今回は深い赤の実物を取り入れて、秋をイメージするフラワーアレンジメントで「秋のブッフェテーブル~実りの季節を愉しむ~」を伝えています。
ブッフェは色々な種類のお料理が並び、どのお料理を食べようかなと考えたり
選んだりという楽しい食のエンターテイメントです。
そこにディスプレイ装飾の効果を加えて、更にゲストに楽しみ喜んでいただけるような演出となるよう、お伝えしたポイントを皆様のブッフェテーブルにも取り入れてみてください。
<この章のポイント> ・テーブルクロスで枠割のゾーン分けをする ・立食の目線の位置に合わせたセンターピースと高低差のある什器で立体感のある演出 ・センターピースにはテーマ性のあるものを取り入れる |
◆ 今回のコーディネートで使用したレンタルアイテム
コーディネートで使用したアイテムは、こちらのページでレンタル可能です。
https://party-creation.com/gallery/82
最後までお読みいただき有難うございました。
次回の記事もお楽しみに!
■特集協力
食空間プロジェクト(FSPJ) https://www.fspj.jp
東京・銀座を拠点とする、食空間コンサルティング・スタイリングディスプレイ・ メディア協力等を行う、食空間専門のプロデュース会社。
様々な業界・企業や商業施設における食空間企画・演出を手掛ける他、一般向けには「FSPJテーブルコーディネートスクール」を運営している。
■コーディネート・執筆担当
干場晴美|Harumi Hoshiba
FSPJ 認定講師・コーディネーター
航空会社にて運航管理に約15年携わった後、結婚を機に転身。フラワーショップに勤務しフラワー全般の実務に従事。フラワー技術をベースにテーブルコーディネートとディスプレイ、VMDを学び、現在は季節の彩を取り入れたスタイリッシュな世界観を提案するフリーランスの空間演出プロデューサーとして活動中。商品~商業空間のディスプレイやオーダーメイドのパーティー空間装飾等を行う傍らフラワーやテーブルコーディネートの講師としても多数の企業にて登壇中。
▼前回までの特集記事は、こちらでご覧いただけます。