特集|中秋の名月のディスプレイ~専門的なディスプレイの知識や装飾テクニック~【FSPJ × partycreation】
編集部トレンド • 2024/09/12 • Written by: partycreation編集部
こんにちは、partycreation編集部です。(https://party-creation.com/)
食空間のコンサルティングやスタイリング、スクール事業を手掛けていらっしゃる「食空間プロジェクト(FSPJ)」様とコラボレーションした特別企画。今月は、中秋の名月をテーマにしたテーブルコーディネートをお届けします。
FSPJ × partycreation presents.
「プロから学ぶテーブルコーディネート特集」
中秋の名月のディスプレイ
~専門的なディスプレイの知識や装飾テクニック~
目次 |
◆ はじめに ~ディスプレイとは
たくさんの情報があふれる中で、見せたい商品や情報を「空間を通して実際に人々の目に留まる場にリアルに演出し、メッセージを伝える方法」がディスプレイです。
どのような見せ方で演出すれば、見る人にメッセージを受け取ってもらえるかを考えてディスプレイする事が大切です。
そこで今回は、「中秋の名月」をテーマとしたディスプレイをご覧いただきながら、ディスプレイの計画から装飾のテクニックまで、3ステップに分けて紐解いていきます。
◆ STEP 1 ディスプレイのデザイン計画
ディスプレイのデザインは、コンセプトに沿って行われるのが一般的です。
コンセプトは自分で考案する場合と、依頼主から提示される場合とがあります。
ディスプレイをする際にもあらかじめいくつかの計画は大切で、この計画がないとあれもこれもと無駄が多くまとまらなくなってしまう場合がよくあります。見せなければいけない物(商品)がある場合はその商品をメインに、決まっていない場合でもディスプレイの中で何を焦点(アイキャッチ)とするのか見せたい物を予め決めて計画しましょう。
今回のディスプレイのコンセプトは、「中秋の名月」の演出ですが、その中でもアイキャッチに何を(どの部分を)置くかはあらかじめ考えておきます。アイキャッチを何にするかを決める時、「中秋の名月」をイメージするようなキーワードから連想してみるという方法があります。
中秋の名月から連想するキーワードは、「秋」「お月さま」「うさぎ」、食べ物は「お団子」、植物は「ススキ」などが思い浮かびます。
キーワードを選んだら、そのキーワードからディスプレイのシーンを設定し、それをどう演出すればよいのかを考えます。
今回は、「ゴールドの丸折敷(写真中央の金折敷)」を「月」に見立て、この折敷が主役になるようにディスプレイを考えていきたいと思います。
シーンは、「お月見の夜にうさぎが月でお団子の準備をしながらほのぼのと会話している様子」と設定しました。
お団子は中秋の名月を象徴する食べ物であり、うさぎのフィギュアを組み合わせることでお月見のストーリー性(物語性)が増します。
うさぎは準備途中のお団子をうっかりこぼしてしまい、どうしましょうと困っていたら、もう片方のうさぎが「大丈夫?」と呼びかけていて、、、などと連想していきます。
このような「物語性」を取り入れることは「楽しさ」を演出するディスプレイの1つの手法です。
<STEP1のポイント> |
◆ STEP 2 ディスプレイの配色と素材、アイテムの選定
シーン設定が決まったらイメージやスタイル、配色と使用するアイテムを考えます。
今回は季節は秋、イメージ・スタイルは中秋の名月から和のテイストを入れた「和モダン」としました。
配色は、月夜の「夜」をイメージするチャコールグレーのクロスにゴールド・黄・濃紺・赤紫など「秋」を連想させる色合いを選びました。
特にゴールドは、月の輝きを表現するのに最適です。丸折敷以外にもスタンドやキャンドルスタンドなどにもゴールドのアイテムを使っています。また、テーブルランナーは、素材の異なる2枚を重ねて使うことで、深まる秋を演出しました。
ベロア素材のランナーはスタンドから流れるような使い方で、ディスプレイならではの遊び心もプラスしています。
メインとなる花材には、中秋の名月を象徴する「ススキ」をセレクトし、「ダリア」などの季節の花や紅葉の葉を取り入れ「秋」の季節感を取り入れました。
また、秋の夜の月明りの中、幻想的な雰囲気を作り出す灯として、キャンドル演出を計画しています。テーパーキャンドルや、ピラーキャンドルの形状の違うキャンドルや、ランタンやキャンドルスタンド、キャンドルポットなど、キャンドルを演出する上で使用する様々な
アイテムを使用しました。また、このドット柄のキャンドルグラスの名称は「ムーンスピリット」。中秋の名月のディスプレイにぴったりな名称ですね。
このようにシーンを具体的にイメージしながらディスプレイを設計することで、見る人にテーマが伝わりやすくなります。
<STEP2のポイント> |
◆ STEP3 目線を誘導する仕掛け作り
ディスプレイには空間に焦点をつくり、そこへ目線を誘導する効果があります。
ディスプレイの構成テクニックの中で、まず最初にマスターしたいのが「三角構成」です。
「ディスプレイの三角構成」とは、集めたアイテムを三角形の形を意識して飾る方法で、ディスプレイする場所に三角形(三角錐、三角柱)をイメージしながら、高低差をつけてアイテムを飾っていきます。
三角形に飾る際、まずは集めたアイテムの中で何を三角形の頂点に置くかを考えます。この頂点の高さで、ディスプレイのスケールが決まります。
今回はススキを頂点にし、そこから三角形の輪郭に合わせて次第に低くなるようにアイテムを並べていきます。
また、三角形をつくるためには、アイテムは少なくても3つ、高さ違いで準備する必要があります。
ここでは、主役の「月に見立てた折敷」と「お団子」「うさぎ」を三角形になるように配置する為に、高さ違いの「高さ出し」のアイテムとして大中小のゴールド花台を使用しています。こうした高さ違いのアイテムがあると、三角構成が作りやすいのでおすすめです。
商品数や使用するアイテムが多い場合にも、三角構成は有効な方法です。その場合には、複数の小さな三角形(写真内の赤線)をつくり、それを組み合わせて大きな三角形(写真内の青線)をつくるようにする方がスムーズです。大きい三角の中にキャンドルやその他のアイテムでも小さい三角形を構成しています。
三角構成のディスプレイは、空間に「三角形」が際立って見えるようにディスプレイすることで空間に焦点が出来、観る人の視線を自然に導き、目に留まりやすくするという効果があります。
安定感とバランス感にすぐれた三角構成は、色々な場面の商品ディスプレイで活用されています。ぜひまずはこの構成をマスターし、お客様の目にとまる素敵なディスプレイ演出にお役立てください。
<STEP3のポイント> |
◆ 今回のコーディネートで使用したレンタルアイテム
コーディネートで使用したアイテムは、こちらのページでレンタル可能です。
https://party-creation.com/gallery/81
最後までお読みいただき有難うございました。
次回の記事もお楽しみに!
■特集協力
食空間プロジェクト(FSPJ) https://www.fspj.jp
東京・銀座を拠点とする、食空間コンサルティング・スタイリングディスプレイ・ メディア協力等を行う、食空間専門のプロデュース会社。
様々な業界・企業や商業施設における食空間企画・演出を手掛ける他、一般向けには「FSPJテーブルコーディネートスクール」を運営している。
■コーディネート・執筆担当
干場晴美|Harumi Hoshiba
FSPJ 認定講師・コーディネーター
航空会社にて運航管理に約15年携わった後、結婚を機に転身。フラワーショップに勤務しフラワー全般の実務に従事。フラワー技術をベースにテーブルコーディネートとディスプレイ、VMDを学び、現在は季節の彩を取り入れたスタイリッシュな世界観を提案するフリーランスの空間演出プロデューサーとして活動中。商品~商業空間のディスプレイやオーダーメイドのパーティー空間装飾等を行う傍らフラワーやテーブルコーディネートの講師としても多数の企業にて登壇中。
▼前回までの特集記事は、こちらでご覧いただけます。