イベントレポート|partycreation Summer Party2026(後編)
編集部トレンド • 2026/10/21 • Written by: partycreation編集部
前編では、「記憶に残るパーティー」を生み出すために、演出そのものではなく、そこに至るまでの“伝わり方”や、ゲストが受け取れる助走(前提)まで設計することの大切さが語られました。後編ではさらに一歩踏み込み、「プロとして何を選ぶのか」「どこまでやるのか」という判断軸へ。トークの後半では、人材育成や自身の成長についてのリアルな言葉も飛び出しました。
イベントレポート後編
「もの」ではなく「こと」と「感情」を持ち帰ってもらう。
プロフェッショナルが考える、体験価値のつくり方
07|プロだからこそ、「全部OK」にしない
新郎新婦と話していると、アイデアが次々に生まれることがあります。友人にもスピーチをしてほしい、あれもしたい、これもしたい。そんな希望をすべて肯定することが、必ずしも良いプランニングとは限りません。
宮西真悠さん 「プロだからこそ、本当に必要なのかどうかを見極める力が必要。必要ないと思ったときに、それをうまく伝えてあげることも仕事だと思います。」
荒井さんも「目的」を判断軸として挙げます。優先順位をつけ、必要なものとそうでないものを整理する。そこには、プランナー自身の技術を正しく使うという意識もあります。
荒井さやかさん 「何のためにそれがあるのか、何を解決したくてやるのか。その目的との折り合いをつけて、バランスを整えていくのがコーディネーターの仕事。」

08|商品を「売る」のではなく、「なぜ?」を聞いて理解する
では、アイテムやサービスへの理解はどう深めるのか。荒井さんは、つくり手や各分野のプロフェッショナルに直接聞くことを大切にしているそうです。
荒井さやかさん 「『なんでこうなっているんですか?』と、素直に聞きます。例えばこのテーブルなんでS字に曲がっているんですか、と。一見すると“細かい質問”に思えることも、その理由を聞けば、商品が持つ価値や解決できる課題が見えてきます。SNSやWebに掲載されている情報だけではなく、実際につくっている人から聞く。そこで得た知識を、自分のお客様の目的と組み合わせたとき、「これ、いいものを知っているんです」と営業担当者以上に語れるプランナーになれる。」
プロフェッショナルとしてのインプットは、情報収集だけではありません。なぜそうなっているのかを問い、理解し、別の目的に応用できるところまで落とし込むこと。その積み重ねが、提案の解像度を上げていきます。
09|荒井さんが考える「プロフェッショナル」
トークも終盤へ。「ウエディングプランナー」「パーティープランナー」など肩書はあれど、荒井さんや宮西さんのように選ばれるプランナーは何が違うのか。お二人に「プロフェッショナル」の条件をお聞きしました。荒井さんの答えは、ビジネスとして成立させることでした。
荒井さやかさん 「ビジネスとして成立しないと、プロではないと思っています。ウエディングプランナーにありがちなのは、いっぱい尽くして満足を得る・・・これはアマチュアです。お客様からいただく対価のちょっと上に、絶妙な落としどころを作るのがプロです。プロは、お客様の満足度の心のタンクを正しく理解します。」
お客様の満足度を理解していないと、やりすぎてしまう、またはそこに到達すらしないということが起きる。まず相手が何に満足したくて自分の前に現れたのかを、正確に理解し、そのうえで、受け取った対価に対して、絶妙に少し上の価値を返すことが重要だと荒井さんは言います。
荒井さやかさん 「100に対して200で返すのは悪いことじゃないのでは?という人もいますが、やりすぎてしまうのは、自分の技術を垂れ流している行為でもある。正しく対価をつけ、正しくお金をもらい、それを少し超える。その繰り返しで、自分を守りながらビジネスとして仕事をつくる人がプロだと思います。」
「大変だった」「忙しかった」と嘆くのではなく、なぜ大変な仕事になったのかを振り返る。技術が足りなかったのか、価格設定が合っていなかったのか、選ぶ相手や方法が違ったのか。すべてを自分の責任として捉え、改善する姿勢もまたプロフェッショナルの条件なのかもしれません。
10|宮西さんが感じる「人生まで豊かにする」プロの仕事
宮西さんがプロフェッショナルだと感じる人には、もう一つ共通点があるといいます。それは、結婚式そのものをゴールにしないこと。
宮西真悠さん 「結婚式をゴールにしていない。結婚式をきっかけに、人生がすごく豊かになっている。そこまで考えて、その人の人生を振り返って、これからの未来に背中を押してくれる人に、私はプロを感じます。」
結婚式当日に「おめでとうございます」で終わるのではなく、その一日がこれからの人生にどうつながるのかまで考える。宮西さんが実際に荒井さんのチームの結婚式に参加した際、入場前に荒井さんがかけた一言によって、新郎新婦や家族が見える景色が変わったというエピソードも紹介されました。
宮西真悠さん 「その一言で見える景色が変わっていた。そういうところに、私はプロフェッショナルを感じます。」

11|会場を「3回」歩く。プロの視点は、体験者の数だけある
参加者からの質問では、荒井さんの“現場を見る目”についても話が及びました。荒井さんは、会場に入るとき、一度だけではなく、立場を変えて何度も歩くといいます。
荒井さやかさん 「まず普通の友達として入る。次は足腰が少し弱いおばあちゃんの気持ちで歩いてみる。次は子ども連れのゲストとして入る。そうすると、いろいろなことが見えてくる。」
受付でサインをする。飲み物を受け取る。手がふさがっている。そんな一つひとつの動作を想像するだけで、導線の不自然さが見えてくる。さらに、ケーキ入刀のような定番演出も、「入刀した瞬間に拍手できるのか?」という視点から再設計する。
乾杯直後にケーキ入刀を行うなら、音響、照明、スモークなどを組み合わせて、拍手に頼らなくても“その瞬間が成立する”方法をつくることもできる。大切なのは、定番を否定することではなく、目的を達成するために必要な要素が揃っているかを考えることです。
12|「できない」の前に「まだ」をつける
ウエディングやイベント業界の人材育成についての質問からは、荒井さんのチームづくりに対する考え方が見えてきました。
荒井さやかさん 「『荒井さんみたいになれない』と言われるけれど、私は『この道20年だぞ』と返します。今1年目、2年目ならできないことがあって当たり前。その18年後に私のようになれていたらいいんじゃないの?とエールを送っています。
経験年数が違えば、向き合っている時間、努力の総量も違う。だからこそ、目標を大きくしすぎず、今日できることまで分解することも大事なのでは。」
荒井さんは、自身を「ウサギと亀のウサギが、休まず走るタイプ」と表現しながら、ただ努力量を増やすだけでなく、知恵を使うことの大切さも語りました。
荒井さやかさん 「『できない』の前に『まだ』をつけてみて。『まだできない』なら、いつかできる未来が見える。」
宮西さんは、チームメンバーの得意不得意を理解することも大切にしていると話します。
宮西真悠さん 「なかなかうまくいかない人がいたら、まずその人自身を知る。その人が持っている魅力や強みを見つけ、それが仕事の中で生きる場所を一緒につくる。人を変えるのではなく、その人の光り方を見つける。」
お二人の長年の経験から培ったリーダーマインドは、同業界で活躍されるオーディエンスの皆さんにも深く心に刺さっている様子でした。
13|partycreationが提案する、2026 A/Wトレンドコーディネート
トークライブの後は、partycreationによる2026 A/Wトレンドコーディネートの紹介へ。世界的な流れを踏まえながら、これからのパーティーシーンで注目したいカラーや素材、空間づくりが紹介されました。
テーブルクロスのベースカラーに今年のトレンドカラーである「クラウドダンサー」を意識した、ベロア調の温かみのある白いテーブルクロスを採用。partycreationでもレンタルが可能で、秋冬のパーティーにせひ活用いただきたい商品です。
一つ目のコーディネート(写真左側)は、ピンクを中心に、グリーンやグレージュをベースとして組み合わせたスタイル。デコラティブに要素を重ねるのではなく、空間そのものの“余白” “抜け感”を生かすインスタレーション型が世界的にもトレンドです。
ピンクに赤みを感じるオレンジ系の色を組み合わせ、「チェリーレッド」と名付けた珍しい色味のナフキンをアクセントに。花材も茎やラインを見せることで、色を重ねながらも軽やかに見えるよう設計されています。
|
・丸プレート「オブシディアン(ホワイト、27cm) ・ナフキン「ハゴロモ(チェリーレッド)」(coming soon) |
二つ目(写真右側)は、オフホワイトやベージュ、白をベースに、ブラック、グレー、グレージュ、ブラウンを差し色として使用。アクセントには、甘さを含んだ赤系を取り入れ、モダンになりすぎない温度感のあるコーディネートに仕上げています。
黒・バーガンディー・ブラウンを差し色としつつ、クリアなゴールドや透け感のあるグラス、細いラインのキャンドルなどで“抜け感”をつくることで、秋冬らしい重厚感と軽やかさを両立しています。
|
・ゴブレットグラス「リヨネ(グレー)」 ・プレート(下)「アリア(クリア/ゴ-ルド、32cm丸プレート)」 ・プレート(上)「泡化粧(ブラック、21cm丸プレート)」 ・フラワーベース「フィンベース(ブラウン)」 ・ナフキン「フラン(バイオレット)」 |
2026 A/Wトレンドを取り入れたテーブルコーディネート。素材や色の組み合わせを実際に見て、触れて体験。
会場にはテーブルクロス、プレート、ランナー、グラスなどのアイテムも用意され、参加者は実際に触れながら、組み合わせを比較。さらに、椅子やテーブル、バーカウンターなど、近年増えているパーティー需要に合わせたアイテムも紹介されました。

14|「見て、触れて、話す」から生まれる次のアイデア
最後は、スイーツやドリンクを囲みながらのネットワーキングタイム。トークで得た気づきを参加者同士で共有したり、コーディネートアイテムを実際に手に取ったりと、会場は終始和やかな雰囲気に包まれました。
今回の『partycreation Summer Party2026』で繰り返し語られたのは、「ものをどう見せるか」だけではなく、「なぜそれをするのか」「誰にどう届くのか」という問いでした。
記憶に残るパーティーは、派手な演出だけで生まれるものではありません。ゲストを知り、意味を考え、体験の順番を設計し、必要なものを選ぶ。その一つひとつを丁寧に積み重ねた先に、写真だけでは残せない“その人だけの記憶”が生まれます。
宮西真悠さん 「意味を伝えること。つまり、ものを売るのではなく、その理由を伝えてあげることが大事。今日からそうしようと思える、そんなきっかけになれば嬉しいです。」
荒井さやかさん 「どう受け取るかは、その人が決めること。でも、自分はこの場でどうありたいのか。どんな人でいたいのか。そこを考えて、刺激として受け取ってもらえたら嬉しいです。」
新しいアイテムやトレンドを知るだけではなく、自分自身の「見る力」「考える力」を磨く。そんな学びと刺激に満ちた一日となりました。
―― イベントに参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
最後までお読みいただき有難うございます。
次回の記事もお楽しみに!
