イベントレポート|partycreation Summer Party2026(前編)
編集部トレンド • 2026/10/16 • Written by: partycreation編集部
今夏リニューアルオープンした東京・表参道にある「partycreation salon(東京ショールーム)」で、ウエディングやパーティーに関わる業界関係者、プランナーやフラワーコーディネーターとして活躍する皆様をお招きして『partycreation Summer Party2026』を開催しました。
このイベントは、日頃partycreationをご利用いただいている皆様に向けて、学びや交流の場を作れないか・・・そんな思いからスタートし、今年で5回目の開催になります。
今年は「心に残る空間や時間は、どのように生まれるのか。」というテーマを軸に、トークライブを通してこれからのパーティー・イベントづくりを考えるとともに、人気アイテムを使ったテーブルコーディネート体験や最新トレンドのご紹介、そして業界のプロフェッショナル同士が交流する時間をお過ごしいただきました。
今回はイベントレポート前編として、「トークライブ」の模様を中心にお届けします。
(後編では「トークライブ」と「トレンドテーブルコーディネートの紹介」「交流会」の模様をお届けします)
イベントレポート前編
「記憶に残るパーティー」とは?
心に残る体験を生み出す、“伝わる”演出のつくり方
◆TALK LIVE「記憶に残るパーティーとは」
「記憶に残るパーティーとは」をテーマに、ウエディング・イベント業界のプロフェッショナルが語り合ったTALK LIVE 2026。その言葉から見えてきたのは、華やかな装飾や演出そのものではなく、「なぜそれをするのか」「誰に、どう受け取ってもらうのか」まで考え抜くことの大切さでした。
午前の部はARCH DAYS編集長の井上絢香さんとPOMERI ウエディングアドバイザーの宮西真悠さん、午後の部はCoco style WEDDINGの荒井さやかさん、POMERI ウエディングアドバイザーの宮西真悠さんにご登壇いただきました。今回のレポートでは、午後の部の模様をお届けします。
左からファシリテーター葉山、ゲストスピーカーの井上さん(午前の部)、荒井さん(午後の部)、宮西さん(午前・午後の部)
ファシリテーターを務めるのは、partycreationクリエイティブディレクターとして、ウエディングを中心に企業イベント・パーティーまで幅広く手がける葉山泰子。午後の部のゲストスピーカーには、北海道を拠点に25名規模のチームを率い、ウエディング・パーティーのプロデュースや人材育成に携わるCoco style WEDDINGの荒井さやかさん。そして、関西の有名ゲストハウスで約8年間ウエディングプランナーを経験した後に独立し、東京を中心に全国対応のフリープランナーとして活動するmayu WEDDINGの宮西真悠さんを迎えました。
01|記憶に残るパーティーは、「伝わる」ことで生まれる
「記憶に残る場をつくるために大切なことは?」。MCからの問いに、荒井さんがまず挙げたのは「伝わらなければ、まったく意味がない」という視点でした。
荒井さやかさん 「昨今はSNSで、結婚式やパーティーの演出等に関する情報は溢れていますが、どれだけこだわって準備しても、受け取る側に伝わらなければ意味がない。伝わった瞬間に、目の前のものがもっと愛おしくなったり、意味がわかったからこそ感動したりする。ですから「助走(前段階)」にこだわることを大切にしています。」
たとえば、こだわりのウェルカムドリンクを用意する・・・だけではなく、ゲストが会場に入った瞬間にそのドリンクの価値を感じられるような説明やそこに至るまでの照明、動線、音楽、視線の流れまで設計する。コンテンツを始めるなら、始まる前にどんな音楽を流せばゲストの気持ちが整うのかまで考える。
荒井さんが大切にしているのは、目に見える「もの」だけではなく、そのものを受け取るための“助走”を組み込むことで、受け手が置いてけぼりにならずに、記憶に残る場面を作るということでした。
02|「なんで?」から逆算する、プランナーの解釈力
「伝えたいこと」と「その助走」。クライアント(新郎新婦)との事前打ち合わせでは、どんなアプローチで情報を引き出しているのか?という問いに対し、荒井さんは、そこにある本当のゴールを捉え、逆算してアウトプットを決めていくと話します。
荒井さやかさん 「お客様が言った言葉をどう解釈して、咀嚼して、だったら私はこういうアウトプットをする、こう見せる、ここに置く、こういう動線にする――。この「解釈」が、プランナーの技術そのもので、ここで差が生まれる。この解釈力に(プランナーの仕事の)対価が支払われていると(社員や後輩の方に)伝えています。」
この解釈力を養うためには、経験を積むだけではなく、日常の中で物事をよく観察し「なぜ自分は面白いと思ったのか」「なぜ感動したのか」を言語化することが大事で、提案の引き出しを増やす訓練になる、と荒井さんは言います。
03|日常の体験を、パーティーのアイデアに変える
提案の引き出しを増やす訓練――荒井さんが例えたのは、登山でした。苦労して山を登り、最後に突然広がる絶景。その感動は、景色そのものだけで生まれているわけではありません。そこに至るまでの道のり、暗さ、予想できないことがあるからこそ、最後の明るさが際立つ。
荒井さやかさん 「『すごい』と思った理由を考える。そこまでの道のりが大変だったからなのか、想像がつかなかったからなのか。そうやって一度概念として自分の中に入れておくと、いつか別の場面で引き出しとして使える。」
レストランに入ったときも、ただ「素敵だった」で終わらせない。照明はどこにあるのか、床の色はどうなっているのか、音楽は何が流れていたのか、香りはあったのか。要素を分解し、別の体験と結びつけていく。さらに自分で再現してみて、うまくいかなければ「何が足りなかったのか」を振り返る。そうした反復が、感性を技術へと変えていきます。
04|「予想外の出来事」に「意味」が乗ったとき、人は感動する
宮西さんが考える「記憶に残る瞬間」も、荒井さんの話と深く重なります。
宮西真悠さん 「私が感動するのは、予想外の出来事に意味が乗ったとき。」
宮西さんが例に挙げたのは、ある新婦の「おばあちゃんが作ってくれた想い出の茶碗蒸し」の話。子どもの頃、学校で嫌なことがあった日や、仕事で疲れたときに食べていた思い出の味を、シェフがレシピとして再現しました。ゲストにとって、単に「おいしい料理」になるだけではなく、そこに新婦の記憶や家族との時間が重なり、その物語が共有されることで、予想していなかった感情が生まれました。
宮西真悠さん 「ただ感動する体験をつくるのではなく、そこに予想外の意味が乗せられて、それをちゃんと共有することで、より印象深いものになるのだと思います。」
だからこそ、パーティーの演出は「何をするか」だけでなく、「その瞬間までにどんな気持ちになってもらうか」までの設計が重要になります。
05|体験価値を左右するのは、ゲストの「前提」
続いて話題は、これから求められる「体験価値」へ。荒井さんが示したのは、主催者が用意したものと、ゲストが受け取れるものとの間に生じるギャップです。
荒井さやかさん 「昨今、現場でありがちなのは、苦労をして準備したのに、受け手(ゲスト)が理解できる編集になっていない――ということです。これは大きな課題だと思っています。「この空間にいれて幸せだった」「これが食べられてよかった」など体験価値を最大化するためには、参加者の情報(例えば、年齢・性別・職業・新郎新婦との関係性など)は大前提として、パーティー慣れしているのか、子連れで参加しているのか・・・彼らの物差しの違いを理解して、どんな企画や演出が心に残るのか、刺さるのか、参加意義を感じてもらえるのかを考えてほしいと、(クライアントに)伝えています。」
同じ料理、同じ花、同じ空間でも、ゲストの人生経験や価値観によって、受け取る価値は変わりますし、「素敵」の物差しそのものが違うかもしれません。
だからこそ「ゲストを理解することは、単なる名簿づくりではない。」と荒井さんは強調しました。誰がどんな人生を歩んできたのか、どんな瞬間に喜ぶ人なのか、普段どんなときに良い表情をするのか。新郎新婦自身もゲストについて聞き、知ってもらう。その情報をもとに、花、料理、音楽、クロス、演出、提供するタイミングまで落とし込んでいく。
荒井さやかさん 「受け取れるものの少し上を、正しい高さ・量で出す。それがプランナーの腕の見せどころ。」
“盛れば盛るほど良い”ではなく、ゲストが受け取れる少し先まで設計する。そこに、体験価値を最大化するプロの仕事が見えてきます。
06|「もの」を「こと」に変え、最後は「感情」を残す
宮西さんは、体験価値が時代とともに変化していることを話してくれました。自分がプランナーを始めた10年前は「どんな結婚式がしたいですか?」という問いかけに対し、新郎新婦は「バルーンリリースがしたい」「会場をひまわりでいっぱいにしたい」など、目に見えるものを希望するケースが多かった。一方、今は「家族との時間を大切にしたい」「家族に感謝を伝えたい」「友人に来てよかったと思ってほしい」といった“こと”を目的にする人が増えているといいます。
宮西真悠さん 「ただし、ものが必要じゃないかというと、そういうことではない。家族や友人に感謝を伝えるために「こういう空間や演出が必要なんです。」という提案を我々プランナーがしなければならない。SNSで見返したときに、その場で刻まれた思い出が呼び起こされる・・・それも体験価値の一つとして設計してあげるのも、プランナーの仕事のうちだと思っています。」
ものは目的ではなく、感情を生むための手段。みんなで参加した、みんなで何かをつくった――その「こと」の先に感情が残るように、必要な「もの」を選ぶ。
――後編では、プロとして何を選び、何を手放すのか。荒井さん・宮西さんが考える「プロフェッショナル」の姿に迫ります。
最後までお読みいただき有難うございました。
次回の記事もお楽しみに!
