東京・表参道にあるpartycreationショールームで、ウエディングやパーティーに関わる業界関係者、プランナーやフラワーコーディネーターとして活躍する皆様をお招きして『partycreation Summer Party2025』を開催しました。
このイベントは、日頃partycreationをご利用いただいている皆様に向けて、学びや交流の場を作れないか・・・そんな思いからスタートし、今年で4回目の開催になります。
今回はイベントレポート前編として「トークライブ」の模様を中心にお届けします。
(後編では「トレンドテーブルコーディネートの紹介」「交流会」の模様をお届けする予定です)
イベントのメインコンテンツ「トークライブ」にご登壇いただいたのは、日本のデスティネーションウエディングを第一線でリードする YUKARI UENO EXPERIENCES代表・上野由賀里さん と、partycreation・eterbleを率いる 葉山泰子さん のお二人です。
上野 由賀里(YUKARI UENO EXPERIENCES代表)
日本におけるデスティネーションウエディングをメインにオーダーメイドのウエディングをプロデュースしている。専門式場、大手ホテルなどで経験を積み、独立。25年間600組以上のカップルにプロデュースの実績を持つ。海外のトップランナーからノウハウを学び、日本のおもてなしと、世界基準のパーティープロデュースをかけ合わせた独自のスタイルで、唯一無二のユニークでスペシャルな体験を提供している。
葉山 泰子(partycreation・eterbleクリエイティブディレクター)
日本でウエディングプロデュースを経験後、アメリカで世界標準レベルのプランニング、現場監修の経験を積む。帰国後はオーダーメイド型のウェディングプロデュースを行う(担当組数1500組以上)と共に、企業の商品・サービス開発やコンサルティング等に従事。その後、 2019年に事業構想専修士(MPD)を取得。2021年に株式会社ワールドサービスに入社。同年、執行役員に就任。「partycreation」のクリエイティブディレクターとして、レンタルアイテムを活用した多彩なパーティーシーンを提案。サステナブルテーブルウェアブランド「eterble」を展開し、デザイン性と環境配慮を両立したアイテムをプロデュース。業界を横断したクリエイティブな取り組みで注目を集めている。
トークライブのテーマは「インバウンドウェディング&パーティーの最新トレンド」。葉山さんが聞き手となり上野さんにご質問する形でセッションが進みました。海外から注目される日本のデスティネーションウェディングの現状や課題、そしてこれからの可能性について、具体的な事例を交えて語っていただきました。
インバウンドウエディングならではの「旅行型ウエディング」とは?
インバウンドウエディングは、2〜3日間にわたる「旅行型ウェディング」が主流。式前日のウェルカムディナー、式当日のセレモニー、カクテルパーティー、レセプション、アフターパーティーと続き、翌日にはフェアウェルランチを設けるケースもあります。
日本の結婚式のように、式や披露宴が一つのホテル内で行われるのとは異なり、各プログラムがすべて違う場所で行われることもよくあるため、移動手段や移動時間についても配慮が必要になり「Whole experience のプロデュース力が求められている」と上野さんから解説がありました。
人気エリアは「京都」が圧倒的
続いて、インバウンドウエディングでリクエストが多い「人気エリア」についての話題に。ダントツで支持を集めるのは「京都」で、伝統的な景観や文化体験を背景にしたセレモニーが特に好まれているとのことです。そのほかに静岡、箱根、伊豆、北海道など、自然豊かなロケーションも人気を集めているそうです。
成約のカギはInstagram
インバウンドウエディングのプロデュース依頼は近年ますます増えており、『検索(Japan wedding planner 等で検索)』や『Instagram』からの依頼が多いとのこと。
特に海外のカップルは “世界観” を大事にしていて、写真や動画を通じて「ここで挙げたい」と直感的に決めているケースが増えているため、Instagramでの情報発信は重要になっているのだそう。
ビジュアルの世界観を通じてプランナーの感性を選んでもらえるため「成約までのプロセスがスムーズになっていると実感がある」と上野さんは仰っています。上野さんの会社のInstagramアカウントの他にも、新郎新婦やゲスト、そして帯同した海外の有名フォトグラファーによる投稿がきっかけになり、依頼がきたこともあるそうです。
海外プランナーとの協働で気を付けていることは?
上野さんの会社には、海外のプランナーやオーガナイザーから依頼が来ることも多く、やり取りの中で、ビジネス慣習の違いが浮き彫りになることもあるのだそうです。上野さんはご自身の経験から、先方のスケジュール管理が多少アバウトなことも見越して、「日本側が積極的に管理役を担うことで、クライアントに安心感を与え、スムーズな進行につながる」ことを強調されていました。
加えて、クライアント(新郎新婦)と直接連絡を取る仕組みを設けることで、意思疎通とジャッジが早くなり「新郎新婦・海外プランナー・当社にとってwin-win-winになる働きかけを心掛けている」という補足もありました。
体験を重視した演出
ゲストの迎え入れの際に「和太鼓演奏」を行ったり、食事では「和食(コンセプトに応じて懐石やカジュアルな居酒屋メニューが選択されることも)」を提供したりと、日本らしさを取り入れた工夫が好評を得ているのだそうです。
そして何よりも大事なのが、海外の新郎新婦やゲストに寄り添った「会話を楽しむ場づくり」。素敵なオープンバーを用意して人の流れが生まれるようにしたり、会話を途切れさせないようにフィンガーフードを提供したり・・・パーティー慣れしている海外の方が楽しめる空間づくりや演出プランに心を砕くことが、結果的に満足度の高さにつながると上野さんは話します。
市場拡大が見込まれるインバウンドウエディング。今後の展望は・・・
自然や文化など、魅力的なコンテンツが多い日本で結婚式を挙げたい海外カップルは増えており、「今後もこの流れは続くと思う」と上野さんからもお話がありました。また聞き手として進行役に徹していた葉山さんからも「海外の富裕層カップルに向けたデスティネーションウェディングは市場拡大の見込みが大きい。大規模な企業イベントを手掛ける日本のプロダクションと組んで会場や演出に力を入れ、なおかつ上野さんの会社のようにきめ細やかなプロデュースやサービスを組み合わせることで、世界トップレベルのウエディングパーティーを実現できるのではないか」という解説もありました。
最後に、ご参加いただいたゲストの皆様からの疑問・質問にお答えしました。今回は2つの質問と回答をご紹介します。
質問1「クライアント(新郎新婦)の出身国によって、式でやりたいことや重視することは変わりますか?」
上野さん)
はい、私の経験では「異なる傾向がある」と感じています。例えば、アメリカのカップルの場合は、ゲスト同士のコミュニケーション等の会話主体の結婚式が望まれます。もともとパーティーに慣れていらっしゃるので、かしこまった司会進行も必要とされていません。一方でアジア、例えばインドネシアのカップルの場合は、司会をしっかりつけて、スピーチ、ゲームなどのコンテンツを準備した披露宴ばりのウェルカムパーティーをご希望されるケースもあります。
そして、一連の式の中で何を重視されるかですが、これはカップルによって千差万別かと思います。例えば、自然豊かな景色の良い場所でセレモニーをやることを優先させるカップルもいれば、タイパ・コスパ重視でセレモニーとアフターパーティーを一か所にして、日本らしい演出やおもてなしにこだわるカップルもいます。
質問2「日本では結婚式を挙げるカップルが減り、式を挙げるとしても披露宴はやらない、または簡略化する傾向があります。日本の結婚式と比較して、インバウンドウエディングでは、バンケットサービスの手法やサービスの在り方そのものに、大きな違いがあるのでしょうか?」
上野さん)
先ほどの質問と通じるところがあると思いますが、そのカップルが経験してきた結婚式やパーティーの文化によって、要望されるサービス内容は異なってくると思います。
欧米の方は「会話重視」なので、レセプションは新郎新婦とご家族とゲストがコミュニケーションをとることに重きを置かれています。ですので、オープンバーを設置して人の流れを作り、会話を遮らない程度にフィンガーフードやお酒をサーブするくらいにとどめます。
一方で、フィリピンのカップルの実例ですが、日本の結婚式のような披露宴で、サービスパレードをしてほしいというご要望もありました。
また、海外のセレブリティの場合は、大人数の晩餐会のような形式で、サービスマンが来て一斉に食事を提供するといったことをご要望されるカップルもいました。
それから余談になりますが「司会」の有無や立ち位置については、毎回課題があると感じています。日本人の司会者の方を起用すると、仕切ることや楽しませようと過剰にしてしまう傾向があります。先ほど申し上げたように、会話を楽しみたい海外のゲストにとっては、前のめりの司会は望まれていません。ですので、司会をご要望される場合は、そのような背景を理解した方にお願いしています。必要なところだけリードしてもらい、余分なことは喋らないくらいがベストかと思います。アメリカの方は音楽がきっかけで場の切り替えを理解してくれるので、DJに進行役を任せたりするケースもあります。または、お身内で司会が出来る方にお願いする場合も多いです。司会未経験でも自然な感じで上手に進行してくれますし、親密な空気になるのでお勧めです。
以上、「partycreation Summer Party2025」のイベントレポート前編をお届けしました。今回のイベントに参加できなかったプランナー様も、是非partycreationショールームにお越しください。見学・ご相談は無料です。以下のフォームより、お気軽にお申し込みください。
最後までお読みいただき有難うございました。
次回の記事もお楽しみに!